Dear Prudence

哲学専修B4 間違いがあればご指摘いただけると幸いです。

2018-01-01から1年間の記事一覧

たんなる興味の限界内の読書録

(今さら)読書の習慣をつけるべく、記録をつける。感想は本の内容から逸脱することが多々あると思う。本来記事の名に値するものではない。 (5/27) 山内志朗「ライプニッツの影響――apperceptioをめぐって」『講座ドイツ観念論 1ドイツ観念論前史』弘文堂,1990…

アリソン「純粋理性のアンチノミー」(2)「純粋理性の理想」(1)『カントの超越論的観念論: 解釈と擁護』第13, 14章

Allison, Henry E. Kant's transcendental idealism: an interpretation and defense, New Haven, CT: Yale University Press (2004), 394-405. 172-282, 285-306, 317-332, 368-394を飛ばしている。 この章〔第13章〕の要点をまとめておこう。(1)アンチノミ…

アリソン「誤謬推論」「純粋理性のアンチノミー」(1)『カントの超越論的観念論: 解釈と擁護』第12, 13章

Allison, Kant's transcendental idealism: an interpretation and defense (pp. 333-368). pp. 172-282, 285-306, 317-332を飛ばしている。 第12章 誤謬推論 I 第一版における誤謬推論 A 第一誤謬推論 [推論の非妥当性。媒概念曖昧の虚偽] [推論の実りなさ…

アリソン「内的感官と観念論論駁」(1)「理性と仮象」(1)『カントの超越論的観念論: 解釈と擁護』第10, 11章

Allison, Kant's transcendental idealism: an interpretation and defense (pp. 282-85, 307-17). pp. 172-282, 285-306を飛ばしている。後日埋める。 pp. 282-85 2 自己触発の議論 [自己知は自己触発を含み、自己触発は外的触発と類比的である、というカン…

アリソン「超越論的演繹」(2)『カントの超越論的観念論: 解釈と擁護』第7章

Allison, Kant's transcendental idealism: an interpretation and defense (pp. 162-171). [解釈の骨子] われわれの解釈の特徴は、二つの部分においてカテゴリーに割り当てられている認知的機能を鋭く区別することにある。第一部分におけるカテゴリーの機能…

アリソン「人間の認識の知性的条件:カントの形而上学的演繹」(2)『カントの超越論的観念論: 解釈と擁護』第6章

Allison, Kant's transcendental idealism: an interpretation and defense (pp. 142-156). しかし以上のことはカントの三分法の証明(ないし体系的説明にすら)あたらない。ここでヒントになるのは『第三批判』序論の注(197n)である。そこでカントは、総合的…

アリソン「人間の認識の感性的条件」(5)「人間の認識の知性的条件」(1)『カントの超越論的観念論: 解釈と擁護』第5-6章

Allison, Kant's transcendental idealism: an interpretation and defense (pp. 130-142). (3) 秩序には二つのタイプがある。第一は表象の秩序presentational order、すなわちそこにおいて心が所与を直観において受容する秩序である。第二は比較的秩序compa…

アリソン「超越論的演繹」(1)『カントの超越論的観念論: 解釈と擁護』第7章

Allison, Kant's transcendental idealism: an interpretation and defense (pp. 159-162). 第7章 超越論的演繹 A90-91/B123で表明されているカントの心配事は、我々の明証的な認識とそれ自体としての現実との一致に関わるのではない。むしろ、感性の供給が…

アリソン「人間の認識の感性的条件」(4)『カントの超越論的観念論: 解釈と擁護』第5章

Allison, Kant's transcendental idealism: an interpretation and defense (pp. 116-130). D 超越論的究明(いわゆる「幾何学からの議論」について) 空間の超越論的観念性の主たる支持を与えているのはカントによる幾何学についての見解である――これは超越論…

アリソン「人間の認識の感性的条件」(3)『カントの超越論的観念論: 解釈と擁護』第5章

Allison, Kant's transcendental idealism: an interpretation and defense (pp. 112-116). C 空間の所与性(直観の形式と形式的直観) [空間の所与性は分析論と調和する] 空間の所与性という理説は、一見して、少なくとも二点で分析論と調和しないように思わ…

アリソン「人間の認識の感性的条件」(2)『カントの超越論的観念論: 解釈と擁護』第5章

Allison, Kant's transcendental idealism: an interpretation and defense (pp. 108-112). B 直観テーゼ 直観テーゼについても、カントは一つのテーゼを支持する二つの論証を提供している。第二版のそれらを扱いたい。 直観性の第一論証 3.空間は、諸物一…